理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

学力向上の最初の一歩~塾に通う意味①~

みなさんは何の目的で塾に通い、塾から何を学ぼうとしているのでしょうか。

「そんなの勉強するために決まっているでしょ。」

「成績を上げて合格を勝ち取るためでしょ。」

と叱られそうです。しかし、学校で毎日何時間も授業を受けているにもかかわらず、加えて塾で勉強をする意味はどこにあるのでしょうか。

 

 

■塾で姿勢を正す!?

 

塾で姿勢を正すとは、鬼のような塾講師を前にして背筋を伸ばして授業を受けるという意味ではありません。学校の集団授業で癖づけられた非効率な勉強方法または勉強に対する固定概念を取り払うという意味です。つまり、勉強との向き合い方を根本から見直す学びが塾での最初の一歩となります。

 

見直されるべき点について算数および数学のケースを例に挙げていきます。

 

その1「消しゴムは極力使わない。」

 

算数および数学においてノートは、情報を整理して解法を組み立てるメモ書きです。つまり、頭の中に散らばる情報を視覚化して考えやすくする役割をノートは担っていますから、スペースを大きく取り、思い浮かんだ図や数直線や数式をどんどん書き込まなければなりません。もし途中で方向性の違いや間違いに気づいたら消さずに次のページへ書き直します。ところが、多くの子どもたちは、間違いに気づいたり行き詰ったりするとそれまでに書き込んだものをすべて消そうとする傾向にあります。やがて、消し跡と紙のしわによりどこを消したのかも分からなくなり、時間を浪費した上に混迷を極める結果に陥ります。

 

子どもたちはなぜ消しゴムを多用したがるのか。この問いの答えは学校の授業風景にヒントがあるかもしれません。というのも、学校では板書を書き写すという行為が重要視されているからです。生徒全員が揃って黒板に書かれた板書を等しく書き写す。この“作業”が、ノートをきれいに書かなければならないという“ノート清書信仰”を助長し、ノートを美しくまとめる努力こそ成績向上へ繋がる勉強法だという誤解を生みだします。何色もの蛍光ペンや色ペンで鮮やかに色取りし、定規をあてて寸分狂わぬ線を引く。果てはデコシールを貼る奇策に走る者まで現れます。

 

もう一度言いますが、ノートは頭の中の軌跡です。ノートを美しく書き上げる必要はありません。もとより、頑張って清書したノートを復習の素材として見返す機会は残念ながら訪れないはずです。復習するには、分かりやすく要点がまとめられた参考書や学習アプリやネット動画を利用した方が効率的です。

 

算数数学におけるノートの本質的役割から言えば、ノートよりもコピー用紙やスケッチブックの方が解答を紐解く上で適しています。一枚の紙であればスペースを気にせず存分に書き込めますし、解答できたらポイして次に進めます。ノートを使うメリットは、積み上げられた使用済みノートを眺めて感じる達成感と自信くらいです。

 

ノートに記したものは解答へ辿り着くまでの履歴でもあります。間違いであっても消さずに残しておくと、何が足りなかったのか、どうすれば効率良く解答を導けるのか、考え方の癖や改善するべき弱点が見えてきます。自分が考えて書き出したものはすべて学力向上へつながる材料です。消しゴムのカスが増えた分だけ学力向上のチャンスも消えてしまわないように、まずは“消す癖”を消しましょう。

 

 

 

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