理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

算数&数学は筋書き力で攻略する~塾に通う意味②~

算数および数学の成績を左右する能力は何だと思いますか?

 

「数字を扱いこなす力、計算力」

「公式や解法の知識量」

「理系的頭脳センス」

 

多くの人(特に算数数学が不得手な人)は上記のように考えているのではないでしょうか。基本となる知識は必要ですが、数字好きだとか公式や解法の暗記量だとかが決定的能力ではありません。算数&数学に強くなるには読解力と文章力がものを言います。「えっ読解力や文章力って文系的能力じゃないの?」と思われるかもしれません。そもそも、文系理系と能力を分けて捉える発想自体が無意味です。読解力と文章力とを言い換えるならば、解答に辿り着くまでのシナリオを書く力と名付けましょうか。算数&数学の問題に対して以下のようにシナリオを構成します。

 

①問題文の情報から状況を整理分析する。

②条件に添ってどうすれば結末(解答)に導けるのか、ストーリー(解法)を考える。

③言葉と図を駆使してストーリーを組み立て、式に置き換える。

 

シナリオを書く力、つまり筋書き力を鍛えると算数および数学の能力が向上します。

 

 

例として中学受験で頻出する以下の文章題(旅人算)を検証してみましょう。

A君とBさんが1週1.8㎞の池の周りを同じ場所から出発して、一定の速さで2人が反対方向に進むと8分ごとに出会い、同じ方向に進むと72分でBさんがA君を追いこします。Bさんの速さは分速何mか、答えなさい。

 

①登場人物はA君とBさんの二人です。二人は池の周回道路をまわるようです。(徒歩?ジョギング?自転車?なのかは分かりません。1周1.8㎞の池と言えば、井の頭公園池と同程度の大きさです。)反対向きに進む場合と同じ向きに進む場合とで二人が再び出会うまでにかかる時間が示されています。

 

 

②反対向きに進む場合、1分毎に縮まる二人の距離は二人の速さの和となります。逆に同じ向きに進む場合、1分毎に縮まる二人の距離は二人の速さの差となります。問題文に示されている情報は距離(1.8㎞)と時間(反対向きで出会うまで8分/同じ向きで出会うまで72分)ですから、ハジキ(速さ・時間・距離)の法則を利用すると二人の速さの和と差が求められます。

 

続けて、二人の速さの和と差から和差算の知識を用いれば、Bさんの速さが求められます。

 

 

③必要ならば図に表してイメージを湧かせます。どういう順序で何を求めるのか、言葉で宣言をしてから計算します。

実際の答案です。まだ荒っぽい所が見受けられますが、解答に至るまでの筋道ができています。

 

 

小中高生の多くは算数&数学の問題に対して言葉(ストーリー)を書けません。問題の情報から言える真は何か?式が成り立つ理由はどこにあるか?本質を見抜き、解答を組み立てる力に言語力は不可欠です。言語力とは読解力や作文力に言い換えられますから、読み書きが不得手な学生は、洞察力や発想力を生かした思考を苦手とします。

 

算数&数学は、公式や解法などのパターンに当てはめ機械的に解く教科だと思い込んで勉強してきませんでしたか。あてはまる人は、その誤った認識を正すところから始めなければなりません。

 

 

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