理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

合格できる人の8つの特徴④プロの戦略を実践できる【中編】

教育メディアから飛び交う、華々しい合格者数ランキングの裏側にはその何倍もの数の不合格者が存在します。彼らの合否の分かれ道は何だったのか。私の指導経験から得た合格できる人の8つの特徴を10回に渡ってお話しします。新受験生の皆さんの一助となれば幸いです。

 

前編では、受験のプロが立てる戦略を信じ、その指示を実践する重要性を述べてきました。

中編では、受験のプロがどのような視点から戦略を練っているのかについてお話していきます。

 

 

プロが考える受験の戦略とは

 

受験は戦略がその命運を分けると言っても過言ではありません。戦略は以下の2つの観点から考えなければなりません。

 

  1. 第1志望校および併願校の選択
  2. 受験に向けた学習計画
 
第一志望校は志をもてる学校を、併願校は戦略的に選択しよう

 

志望校を決定する時期にもよりますが、現状の成績から第一志望校を選択する必要はありません。目標を高く据えることで人間の能力は引き上げられます。端から現状維持的な目標設定をする人ほど成績は伸びません。

 

先のコラム『②志望校への執着心が強い』でも述べた通り、第1志望には受験勉強の熱量を保てる学校を据える必要があります。

 

学校の下調べと自己分析を行い、自己実現に希望を抱ける学校に出会えれば、それがあなたの第一志望校となります。「この学校の○○部に入りたい」、「あの仕事に就くための学びができる」など具体的な目的がなくても大丈夫です。憧れや第六感であっても構いません。その学校で自分が刺激を受けられそうとの期待が受験勉強の熱量になれば、それは十分な志望動機となります。

 

一方で併願校については、第一志望校と校風や方針に共通点をもつ学校から選択することがまずは健全な考え方です。ただし、第一志望の学校を選ぶときとは異なり、併願校の選択は受験における実利的な点を考慮する必要があります。それは、第二志望校や滑り止め校として合格可能性を高めておく理由もありますが、第一志望校の合格を手繰り寄せる上での戦略的意味合いがあるからです。

 

第一志望合格を手繰り寄せる実利的な点とは、入試の教科・出題分野・問題レベル・出題形式・日程等を指します。併願校の受験教科は第一志望校とできるだけ同一であり、加えて教科内の出題分野が似通っている必要があります。

 

たとえば、第一志望校の国語において論説文と古文のみが例年出題される場合、小説文や詩歌が出題される学校を併願校として選ぶのは好ましくありません。なぜなら、第一志望校には不要な小説文や詩歌の勉強が必要になるためです。受験は限られた時間の中で効率的に学習を進める必要があります。第一志望校に最適化された学習の延長線上に併願校の対策を組み込むことが戦略上理想的です。

 

また、第一志望校の種類―――トップ私立高、大学附属校、新興系私立進学校、公立学校―――により学習方針と進捗は左右されます。

難関校だからハイレベルな問題集に手をつければ合格できるわけではありません。入試問題の難易度は学校の偏差値に比例するわけではないからです。

学校ごとの理念と運営方針は入試問題の傾向に表出します。したがって、それを理解した上で志望校合格に向けた学習計画を立てる必要があります。

 

後編では、大学附属校と新興系私立進学校の出題傾向・難関私立校と公立トップ校とを併願する際の注意点についてお話ししていきます。

 

合格できる人の8つの特徴④プロの戦略を実践できる【後編】へつづく

 

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