理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

2019-01-01から1年間の記事一覧

数字や形に見えないから価値がある

TBSドラマ「G線上のあなたと私」は、同局で話題となった「カルテット」の再来と一部のネット民の間で囁かれているそうです。大人のバイオリン教室で知り合った、年齢も立場もまちまちな3人の生徒を中心に繰り広げられる心の動きや人間模様が繊細で共感を呼び…

科学実験に渦巻く幻想と誤解―理科実験を学ぶ意義―

「理科実験を専門とする塾をやっています」と話すと、おおよそ以下のような反応をいただきます。「面白そうですね。楽しそうですね。」「子ども(小学低学年or未就学児)にやらせてみたい。」「科学実験のお楽しみイベントをやったらいいね。」etc.…。もちろ…

筆算の定規直線問題から考えるノートの使い方

■筆算の定規直線問題にみる学校現場の慣習 『筆算の直線を定規で引かなかったらやり直しを命じられた』福岡の小学5年生に起きたエピソードが新聞に取り上げられ、ネット上で話題になっています。学習の目的と手段とを取り違えている“学校あるある”の典型的な…

科学実験に大活躍!国民的清涼飲料水

タイトルを見て「あのドリンクのことか」とピンと来た人は科学好きですね。そう、イオンサプライ、ポカリスエットです。1980年に発売されて以来、日本中で飲まれ続け、2008年には累計発売本数が300億本に達した国民的清涼飲料水です。 ■小学生には難しくて…

探究学習のススメ-理科実験の探究が学力を向上させる訳-

科学実験塾を営んでいると、ある壁に突き当たります。ある壁というのは、「限られた時間の中で、科学実験を通して学びの本質を生徒に伝えきれているのか」という問題です。 ■探究学習で得られる3つの力 学びの本質とは、探究する学習の中にあります。科学…

それ、悪文かも。話せても書けない「書き言葉」―悪文を書かないための講座①―

学校英語では、英文法(grammar)をみっちり教え込まれるのに、母国語である日本語の文法や作文技術をあまり教わらないのは、学校七不思議の一つです。話し言葉と書き言葉は別物です。日本語を母国語として日常的に使っているから、書き言葉も自然とできるよ…

無知な自分を知ることから始まる知性

こーたろさんという方が投稿した以下のツイッターが話題になっています。 『バスで料金払うときに手帳見せて障害者の料金で払ったんだけど、後ろの老人の一言でかなり落ち込みました。自分は発達障害だから見た目は何もないんです。「最近の若者は見た目丈夫…

会話力向上のコツ-ある八百屋との世間話-

桜の開花情報にメディアがはしゃぐ季節になりました。とはいえ、4月中頃までは、暖気と寒気のせめぎ合いが続きます。“春は寒い”、ということを再認識するたびに思い出すコントがあります。 「あ゛ぁ~、もう4月になったというのに冬みたいに寒いなぁ~。今年…

情報のカプセル化に抗いたい

“家電運”というものがあるのならば、私は良運の持ち主ではないようです。特に酷いのが掃除機(クリーナー)運です。この10年間に4台の掃除機たちを看取ってきました。中には入院手術を試みたものもあります。付き合ってきた掃除機たちの形式も、オーソドック…

気づける人になるために-AI時代に生き抜く力-

近頃のスーパーでは、セルフ化・半セルフ化されたレジが見られるようになりました。私がたまに行くスーパーには、半セルフ化されたレジが並ぶ中、一台だけお釣り渡しまで店員さんが行う従来式のレジがあります。時代に逆行するひねくれ者の私は従来式のレジ…

テストから養う「分析眼」

2月に突入し、早いもので2019年も12分の1が過ぎ去りました。2月と言えば、「テスト」です。私は塾屋ですから、受験シーズン到来です!と受験の話題に触れるべきですが、私がもう一つ思い浮かべる2月のテストと言えば、F1の開幕前テストです。なんのことやら…

分かりやすさの落とし穴

♪宵闇に 爪弾き 悲しみに雨曝し 花曇り♪ ♪枯れた街 にべもなし♪ ♪侘しげに鼻垂らしへらへらり♪ ………(中略)……… ♪あなたは(ふらふらふら)フラミンゴ♪ ♪鮮やかな(ふらふらふら)フラミンゴ♪ 失礼しました。何のことか分かる方も多いかと思います。米津玄師…

人が人であるために忘れてはいけないもの

■年末年始はドラマの一挙放送目白押し 休みの日はこんな風に過ごしてみたい。それは朝から夜までドラマの世界に投身することです。休日の遅い朝、寝ぼけ眼をこすりながらソファにインしてテレビのリモコンをオンします。たまたま画面に映し出された懐かしい…

内申点という魔物⑨―中学高校の多様な枠組みを目指す時代へ―

シリーズコラム「内申点という魔物」の最終回は、多感な思春期の6年間が中学と高校の2つの枠組みに分離される公立学校の制度を見直してみます。3年ごとに入試に追われるよりも一貫した時間を生徒に与えることの方が教育的価値は大きいと考えます。その理由…

内申点という魔物⑧―高校入試は要らない!?―

内申評価制度がもたらす中学教育について考えてきたコラム「内申点という魔物」 第8回はこれからの高校入試と内申評価制度の在り方ついて論じていきます。 ■入試問題の多様な在り方を模索する時 “高校入試は要らない!?”とは、極論のように聞こえるかもしれ…

内申点という魔物⑦―思春期が将来の礎となるには―

内申評価が中学3年間とその後に及ぼす影響についてこれまで綴ってきました。第7回のコラムでは、中学3年間が思春期の子供たちに与える時間的価値とそのあるべき姿について考えていきます。 ■公立中学3年間は公立高校進学の準備期間なのか 公立中学3年間には…