理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

勉強したのに成績が上がらないわけ

「あれだけ頑張ったのにどうして私の成績は上がらないのだろう?」勉強してきた多くの人が経験した悩みではないでしょうか。

 

勉強時間と勉強量が足りない。

的外れな勉強をしている。

勉強方法を間違えている。

参考書の選択をミスした。

塾の先生の教え方が悪い。←人のせい?

 

成績が上がらない原因は上記に挙げたように色々と考えられます。しかし、勉強方法もペースも指導方法も間違えていないのに成績が上がらない場合には以下のような原因が考えられます。

 

「成績上昇カーブへの思い込みがある。」

 

勉強時間と勉強量とに対して成績は比例に近い形で上昇すると考えていませんか。グラフに表すと以下のようなイメージです。

 

 

こうした成績上昇カーブのイメージを期待して勉強に励むと必ず壁にぶち当たります。なぜなら実際の成績はイメージ通り上昇しないどころか横ばいの状態を継続する場合が大半だからです。

 

自らに意識改革を施し、目標達成のために遊びも好きな事も我慢して頑張ったのだから偏差値という目に見える形で成果を欲する気持ちは当然です。それゆえ、頑張った分に見合う成果を得られなければ、「どうせ頑張っても無駄なんだ。」「自分には勉強の素質がない。」と気持ちが萎えてしまうかもしれません。

 

でも、勉強への見切りをつけるには少々判断が尚早です。偏差値が横ばいでも、これまで頑張ってきた勉強は間違いなくあなたの血となり骨となっています。間違っているのは、勉強が偏差値向上へすぐさま反映するという思い込みです。実際の成績上昇は以下のようなグラフで表されます。

 

 

成績は比例のように上昇するわけではありません。じりじりと潜伏するような期間を経て、あるタイミングで垂直的に上昇します。こうした階段状の動きを繰り返しながら上昇していきます。

 

なぜ成績は比例的に上昇しないのでしょうか。学習は科目と単元とに区分して進められます。科目と単元とは体系的に絡み合っていますから、一つの科目と単元とを学習した際の理解は、複数の科目と単元との学習を終えるごとに深まっていきます。つまり、点でインプットした学習内容は、線でつながり、やがて複層的なつながりとなった時に根を張った知識や知力としてアウトプットできるようになります。勉強を頑張ったのに成績が横ばいである時期は、学習内容を点としてインプットしている段階だと言えます。学習した内容をアウトプットできるようになる時期はある時点で到来します。問題文を読んだ際に今までと異なるようなクリアな感覚を抱いた時が“その時”です。

 

 

一軒家を建てる話で例えてみます。

 

①一軒家の建築にあたり設計士はオーナーと話し合った内容からプランを起こし設計図を引きます。

①塾講師や家庭教師は生徒との面談結果から学習内容・学習量・スケジュール等の学習プランを立てます。

 

 

②地盤を調査改良し、土地を均し、建物の土台となるベタ基礎を作ります。

②生徒は学習プランに添って勉強を始めます。欠けていた基礎的な学習内容を勉強して遅れを取り戻します。

 

 

③設計図に基づき木工所では柱を加工します。サイディングや設備などの部材を発注します。

③生徒は学習プランに添った勉強を続けます。単元ごとの基礎問題をこなしながら学習量を増やします。

 

 

④棟上げをします。(※建物の躯体となる柱や梁や小屋組を組み立てること。半日~一日で組み上がり、家の形が見えてきます。)

④模試で初めて偏差値が上がります!

 

 

⑤断熱材を敷き詰め、電気配線や水道管などを敷設します。

⑤生徒は学習プランに添って引き続き勉強を続けます。単元ごとの学習内容を繰り返したり、演習問題をこなしたりします。

 

 

⑥サイディングをはり、屋根を葺きます。内壁・天井・床をはります。(家の完成形が見えてきました。)

⑥模試でさらに成績が上がります!

 

 

頑張った内容が形として現れるまでには一定の時間を要します。成果が表れない内は楽しさよりも辛抱ばかりですが、見えないところで着実に仕事が進められていますから、“その時”を信じて努力を続けてください。信じた者だけが見られる景色があります。

 

 

 

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