理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

情報のカプセル化に抗いたい

“家電運”というものがあるのならば、私は良運の持ち主ではないようです。特に酷いのが掃除機(クリーナー)運です。この10年間に4台の掃除機たちを看取ってきました。中には入院手術を試みたものもあります。付き合ってきた掃除機たちの形式も、オーソドックスな紙パック式×2⇒ハイパワーなセミサイクロン式⇒超軽量のサイクロン式と多種多様です。決して手荒な扱いをしているつもりはありません。ダストはこまめに除去しますし、フィルターとブラシのメンテナンスも欠かさずに行い、大切にしてきたつもりです。現在お付き合いしている5台目くんは、超軽量多機能紙パック式です。先日、この5代目くんの“ウリ”の一つであるヘッドノズルLEDライトが点灯しなくなりました。掃除機としての使用に問題はないのですが、販売店の保証期間内でもあったので販売店に修理を依頼しました。

 

1週間後、無事に修理が終了したとの連絡が入り、販売店に引き取りに行きました。問題のあったLEDライドはヘッドノズル丸ごと新品に交換されていました。販売店の店員から「修理の詳細はこちらの明細に記載されております。」と袋に入った修理明細書を掃除機と共に手渡されて終了です。自宅に戻ってから修理明細書を見て驚きました。不良個所はLEDライトだけではなかったのです。掃除機の心臓ともいえるモーター周りにも不具合が見つかり、モーター関連の部品がいくつか交換されていました。

 

修理明細書には以下のように記述がありました。

『この度は…(中略)…ヘッドランプが点かない為、床用ノズルを交換させて頂きました。モーター電流特性不具合の為、モーターサポートゴムマエ、モーターサポーターAU、モーターファンUを交換させていただきました。動作テスト良好です。』

えっ、これだけ?

 

職業柄なのか、私の疑問と関心は、幾月も使用していない掃除機のLEDライトが壊れた原因にありました。「LEDライトはなぜ点灯しなくなったのか?」「モーター電流特性不具合とは何なのか?」過電流でも発生してLEDライトがボムしたのでしょうか?そもそも使用開始から日が経っていない掃除機なのにどうして不具合が起きてしまったのか?不具合の考えられる原因と詳細説明が修理明細書に記載されているものと期待しておりました。原因が誤った使用方法にあるならば、反省して掃除機の扱い方を改めます。突発的な過電流が原因であるならば、我が家の配電に問題があるのかもしれません。(我が家の築年は古いから気になる。)『ヘッドランプが点かない為、ノズル交換』って、そのまんまじゃないか。担当者はノズルを分解して原因を究明したのでしょうか。製品開発に役立てる実証データとして検証したと信じていますが、できればその結果を知らせていただきたかった。

 

世間の大半は、無料でノズルが新品になったのだから、修理明細書に原因と詳細が記載されていなくても納得するのかもしれません。きっと私は面倒臭いことを言う消費者なのでしょう。(今回の件でクレームなんてつけていませんよ。心の声です。)

 

現在の世の中では、物事に対する「なぜ?」が意外と蔑ろにされているのではないでしょうか。物事を表層的に捉えて納得させられる、または、分かった気になる場面は多く見られます。企業が消費者に事細かく説明をしたところで、“理屈っぽい”とか、“話が長い”とか、消費者は面倒臭がって見向きもしないかもしれません。あるいは、企業側の都合で説明があえて控えられているのかもしれません。企業秘密的な都合は兎にも角にも、消費者は「なぜだろう?」を普段から気にする癖を身につけたいものです。人の脳の活動は楽な方へ傾きがちです。考えることをさぼり続けると鋭い気づきを失ってしまいます。そして自分の気づかぬ内に、操作された情報に流されているものです。

 

なーんも考えないとこんなことに…!?