理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

理科と社会の勉強法を悩める方へ

「理科と社会はどのように勉強すればいいですか。」

 

これはよくある質問の一つです。理科と社会の勉強法に悩む人は、理科と社会を勉強しづらい教科だと捉えているようです。逆に言えば、数学や英語は勉強しやすい教科だと感じているともいえます。その原因の一つとして、“勉強はパターン化された内容を学習するもの"という誤った認識が考えられます。

 

書店では、理科社会の参考書に対して数学や英語の参考書の方が棚のスペースを陣取っています。「よく出る!英文解釈の総特訓」やら「これだけ覚える!英文法」やら「合格のための必勝!英単語1500」やら、これをやれば大丈夫的なタイトルが飛び交っていますから、数学や英語に対する勉強方法は確立されているように見えます。

 

確かに数学や英語は分野ごとの重要ポイントが整理されていますし、解法のノウハウも確立されています。こうしたノウハウをこなしていけば、その頑張りはそれなりに成績へ反映されるでしょう。パターン化された基本的な解法を知っていると、解答する際の引き出しが増えます。ゆえに、詰込み式の学習法は誰もが最初に通らなければならない道でもあります。しかし、このような“型”に沿った勉強法だけを行ってきた人は、知識と解法の詰込み学習こそが勉強なのだという誤った認識を抱きがちです。

 

 

■勉強は考え方の幅を広げるためにある。

 

勉強は詰込みや暗記力で乗り切るものではありません。知らなかった考え方やものの見方を学び、考え方の引き出しとしてそれらを蓄えることにより、考える力を育むものです。

 

例えば、数学で学ぶ2進法は10進法の世界に慣れた私たちに新たな数の概念と表現法を気づかせくれます。電気信号のオンとオフとで成り立つデジタルの世界を表現する方法として2進法は適しています。また、帰納法背理法や2次関数などで必要な場合分けの考え方は、情報を整理して論理的に物事を思考する際に役立ちます。

 

コロナ禍の今年は、コロナウィルスの新規感染者数が日々報道されています。〇日ぶりに100人を下回っただとか、〇日連続で200人を超えただとか、その感染者の実数にだけ注目して一喜一憂させるような見出しがつけられています。こうした報道に対しても統計学的な物の捉え方を身につけた人ならば、見出しに流されることなく、冷静な判断ができるでしょう。というのも、検査数つまり母数の変化によって感染者の実数は大きく変化するため、実数だけを見て単純に判断できない数字のからくりを知っているからです。少なくとも割合となる陽性率やら検査条件も併せて考えなければ正しい判断ができません。そんなこと言ったって統計学なんて習っていないよ、と言われそうですが、分数の母数と割合との関係は小学校の算数レベルで十分理解に及びます。

 

目先のテスト対策に明け暮れる勉強法では、テスト終了と同時に記憶が吹き飛んでしまいます。考える力としての学力を身につけようと勉強に臨むだけで、勉強に対する景色は変わります。

 

 

■理科と社会は身の回りの事象に直結した教科

 

勉強をテストや参考書の世界に限られるものと捉える人は How to(ハウツー)探しに走ります。文頭でも述べたように数学や英語ではHow toが存在しますから、それでも一定のレベルまでは何とかなるかもしれません。一方で、理科と社会はミクロやマクロの法則や事象を扱う教科です。参考書を読むだけではイメージを膨らませにくい面がありますから、How to的勉強法を模索する人にとって勉強しずらい教科となるわけです。

 

これまで述べてきたように勉強は実生活と切り離せません。さらに言うならば、理科と社会ほど身の回りの出来事に直結する教科はありません。参考書の太字を身の回りの事象にいかに置き換えられるかが、理科と社会を攻略する鍵となります。

 

理科の分野で例えてみます。気化熱と熱量のテーマは、冷蔵庫やエアコンの冷媒の仕組みに関係します。より身近なところでは、打ち水であったり、注射前のアルコール消毒でスッとするあの感覚であったりする仕組みにもつながります。

瓶詰の蓋が開かない時に蓋を火であぶると簡単に開けられるのは、金属とガラスの膨張率の違いによるものです。飽和水蒸気量と上昇気流の問題ならば、猛暑日に発生するゲリラ雷雨の仕組みに置き換えて考えればよいでしょう。

 

社会の分野でも同様のことが言えます。歴史は年号や出来事や人物名を丸暗記するのではなく、政治的社会的な背景を探り、当時の価値観と現在の価値観とを比較しながら捉えてみれば理解が深まります。地理で言うならば、農産物の産地について地形的地理的な要因や地域の人的経済的な背景から考えてみるだけで見え方が変わってきます。スーパーで農産物の産地表示を気にしたり、旅先で街の様子や車窓から見える景色を意識したりしてみてください。暗記で乗り切ろうとしていた参考書の太字が立体感を持って頭に定着します。

 

日常の中で身の回りの事象を常に観察して“なぜ”を考える癖を身につけましょう。すると、概念的で抽象的に見えていた参考書の用語が具体性を持ち始めます。つまり、理科と社会は机上以外で常に学べる教科なのです。

 

 

■理科と社会は家でやれ?

 

12年くらい前に「未来講師めぐる」というポンコツ進学塾を舞台にしたドラマがありました。人の20年後の姿を透視できる英語講師の吉田めぐる(深田恭子)を中心に描かれた宮藤官九郎さん脚本のコメディ作品です。同僚のスケベな数学講師役にブレイク前の星野源さんが出演していた件はマニアの間で有名です(話が脱線しました、失礼)。そのポンコツ進学塾の塾歌にこんな一節がありました。

 

『ぉ前達ァヵデミナール塾歌』

 

♪私たちは 頑張れって言いません♪

♪あなたたちは 頑張らなくて構いません♪

♪国語 英語 数学 大好き♪

♪理科と社会は 自分の家でやります♪

♪自分らしく 自分のペースで♪

♪勉強しましょう 遊びましょう♪

♪YOYO! 予習 復讐 北九州♪

♪ABCD E感じ ありをりはべり アリゾナ州

♪スイヘ―リーベ― 縄文人

♪私たち 何となく受かりたい♪

♪ぉ前達ァヵデミナール♪

♪私たちサポートします♪

♪ぉ前達ァヵデミナール♪

♪私たち 何となく受かりたいぃ♪

 

歌:吉田めぐると講師たち

作詞:宮藤官九郎/作曲:星野源/編曲:星野源松浦有希

 

進学塾としては世間的に最低な歌詞ですが、個人的にはこんな緩い塾に憧れます。作曲されたのが、星野源さんなんですね。いや、そういう話をするつもりじゃなかった。赤字の箇所『理科と社会は自分の家でやります』というフレーズに注目してみます。はたして理科と社会は家でやる教科なのでしょうか?

 

これまで述べてきたように理科と社会を攻略する鍵は、いかに概念的な単元を身の回りのものに結びつけられるかという点にあります。図鑑や百科事典等を読みこなし自主的に好奇心を燃やし理解を深められる生徒ならば、自主学習で十分かもしれません。しかし、そのような生徒は恐らく稀です。むしろ理科と社会こそ、教科書や参考書から飛び出した世界を見せてくれるプロの講師のサポートが必要となります。やる気スイッチ、じゃなくて好奇心スイッチを押された生徒は、日常生活においてものの見方と意識に革命が起きるでしょう。学力は向上し、成績は自ずと後からついてきます。理科の好奇心スイッチを押されたい人には、子供遊びでない、探究する理科実験を行う理科塾がおすすめです。

 

 

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