理科塾から望む教育コラム

教育、世相、人と街…、肌で感じた小さな発見と疑問について軽い頭を絞りながら綴ります。

一番好きなラーメンの具は?―ある小学生の会話―

フォトグラファー梅佳代さんをご存じでしょうか。小学男子のありふれた日常とその生態を一コマに捉えた作品は人気を博しています。写真から伝わる梅佳代さんの独特な世界観が見る人の心をクスっと、ほわっとさせてくれます。

 

小学男子という生きものは、世間体や常識に囚われた親たちをイライラさせるけれども、大人が遠くに置き忘れてしまった視点でこの世界を見ているのでしょう。私もかつては小学男子でしたが、いつの間にか自分の親や教師たちと同じような振る舞いをしているのかもしれません。もっともらしい正論を振りかざしたつまらない大人にならない様に柔らかい頭を持ち続けたいものです。

 

さて、現在は中学生をメインにした塾を運営していますが、以前、低学年の小学生に理科実験を教えていた時のエピソードを紹介します。授業の休憩中に小学1・2年生の女子3人と男子2人が教室の片隅に集まり、一人の女の子を中心にして何やらクイズを問答しています。

 

クイズを出している女の子は、素直でハキハキした性格に加えて、都会的で可愛らしい恰好をしたお姫様といった感じのお嬢さんです。随分年の離れたお兄さんとご両親の4人家族の末娘ということもあり、ご家族の愛情をたくさん受けて育ってきたのでしょう。

 

次の実験の準備を大忙しで進める私の耳に彼らの会話が入ってきました。

 

 

女の子「私が一番好きなラーメンの具は何でしょう?みんな、考えて。」

 

女友達1「えー、チャーシュー?」

 

女友達2「たまごかな?」

 

女の子「ブッブー、どちらもちがいまーす。」

 

男子1「えーなになに、なんのクイズ?」

 

女の子「だから、私の一番好きなラーメンの具を当ててみて。」

 

男子1「メンマ!」

 

男子2「海苔!」

 

女の子「ぜんぜん、ちがうー」

 

みんな「スープ?麺?それともネギ?もやし?ナルト?かなぁ?」

 

女の子「どれもハズレ、ほら、他にもっとあるでしょ。」

 

 

私「みんな、そろそろ席に座って。授業を始めるよ~」

 

 

みんな「えー、なに? 教えてよぉ。」

 

女の子「何で分かんないのっ、餃子だよぉ!(怒)」

 

私「(心の声)そりゃ、分かんないだろ(笑)」

 

男子1・2「あぁ、そっかー、餃子があったか~」

 

私「・・・」

 

 

小学生の世界観は非論理的かもしれないが面白い。

大人は年を取るたびに脳が固くなって若者との距離が遠ざかっていくようです。これまでの固定観念に囚われない発想を打ち出して時代を作っていくのは若者です。大人はせめて、若者が遠慮や委縮をしないで活躍できる環境を作らなければなりません。

 

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